足でペダルを漕いでどこかに行くなんて、18歳の誕生日以降ではナンセンス極まりない行動だ。実際、ほんのちょっと近所に行くとき以外に、高校を卒業してからのこの6年間で自転車を漕いだ記憶がほとんどない。車もバイクも所有している僕にとって、エンジンが付いていない乗り物なんてものは「少しだけ手軽」以外のメリットが何もなかった。
ロードバイクが欲しい
ところが、つい先日から事情が変わってしまった。すべては2018年の夏に友人らと共に三宅島に行ったことがキッカケだった。
東京都の沖にある外周僅か30kmほどの小さな島を、友人の古く壊れかけのロードバイク(写真右から2番目)を借りて走った時、
「何この乗り物、楽しい!」
なんて感情が沸き上がってしまった。おかしい。1周30kmしかないのに火山島ゆえにアップダウンが激しく、最高地点でも標高500m近いところまで登らされ死ぬかと思ったのに、”楽しい”なんて思うなんて、どうかしているとしか思えない。
自転車で走った翌日は原付を借りて島を1周してみたが、ハンドルをひねるだけで簡単に坂を上っていく様は痛快極まりなかった。汗一つかかないままに三宅島の様々な観光スポットを回れたのは爽快だった。なのになぜ、どうして、三宅島から帰ってから毎日のようにロードバイクメーカーのサイトを見てはあれこれと悩んでいるのだろう…。
速さを追求した機能美溢れるデザイン、乗ると明らかに前方不注意になりそうな頭の悪い操縦姿勢、軽さと剛性という相反する要素をギリギリまで攻めたパーツの一つ一つ、足をペダルに固定してまで効率を追求する様…。極限まで無駄を省き効率を追求しているのに、「ガソリンで走ったほうが圧倒的に速くて楽」という一言で論破されてしまうような無駄の集合体、それがロードバイク。欲しい…。
でもあんまり乗りたくない。だってしんどいんだもん。お尻も痛くなるし。
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